グリーンゲイブルスというお店のごはんがおいしかった話
先日、中国の大山へ登山に行ったのでその時のことをまとめようと思ったのだけれど、まとめて書くと長くて面倒そうだったので、思いついたところから小出しにしていこうと思う。
いろいろ食べていろいろおいしかったのだけれど、その中でも蒜山のグリーンゲイブルスというお店が価格に対して破格のおいしさだったので、そのことを書く。
(本当はツイッターに短文と写真あげておしまいにしようとしたのだけれど、書いてみたらちょっとツイッターに収まらなさそうな感じだった)
名前の通り『赤毛のアン』(原題は『グリーンゲイブルス(緑の切妻屋根)のアン』)の家っぽい雰囲気の小さなお店。夫婦二人だけでやっているらしい。
お店の外観は『赤毛のアン』のモデルとなった家とも雰囲気がよく似ていて、屋根はもちろん緑の切妻。よくぞここまで仕上げた。
内装も北米のカントリー風で統一してあり、そのこだわりは手洗い場の蛇口に至るまで徹底している。たぶんここの奥さんが相当にこだわったんだと思う(公式サイトも料理より建物と庭の写真が多いしな)。
赤毛のアンの舞台はカナダのプリンスエドワード島。カナダでフランス料理は設定としてどうなのかとも思うけど、プリンスエドワード島はフレンチ・インディアン戦争まではフランス植民地だったそうなのでギリギリセーフ?
今回いただいたのは当日朝に滑り込みで予約を入れた小さなフルコース3000円。シェフのおすすめコース5000円もあったが、こちらは準備の関係上前日までに予約を入れないと食べられないそう。
前菜はサラダとテリーヌ。
サラダにオクラが入るの珍しいな……。テリーヌおいしい……。やっぱりこの店選んで正解だったな……。とか思いながら食べる。
スープはカボチャのポタージュ。
カボチャを裏ごしにしてスープとかシチューとかにするの、めんどくさいけどおいしいよね知ってる知ってるって思いながら口をつけてみると、なんか知らない味がする。すごくおいしいんだけど、どうやればこんな味が出てくるのか想像が付かないおいしさ。山岡士郎が「一週間後に来てください、本当のカボチャのスープを食べさせてあげますよ」と言って出してくるスープはきっとこんな味がする。
魚料理はサケのアンチョビソース掛け。
よくわからないけどいろんなあじがたくさんあっておいしい(語彙力死亡)。塩味がアンチョビから来ているらしいことくらいしか分からなかった。おいしい。
肉料理は豚肉の香草焼き(だったと思う)。
バジルとトマトベースのソースが豚肉とホウレンソウに良く合っている。豚肉が、焼いたもののはずなんだけど、すごくハムっぽい食感で、これもまたどう調理したのか謎な一品だった。低温で長時間調理したらこんなふうになるかもしれないとは思った。
デザートはココナツのケーキとプリンと果物に紅茶。
ちょっとまって、プリンってケーキみたいに切り分けて出てくるものだっけ???
プリンは濃厚な味わい。ケーキもおいしかった。
紅茶はティーポットにたっぷりと注がれて、ティーコジーをかぶせて提供される。ティーコジー、実際に使われている場面を見るのは実ははじめてだったのでちょっと感動した。
全て食べ終わってみて改めて思うのは、これが3000円は安すぎるということ。この料理には絶対に価格の倍以上の価値がある。リーズナブルとかいうレベルじゃない。以前、「家賃を払ってない味」という表現があったけど、ここの料理はそれに加えて「技術料を加算してない味」がした。
ところで、お店に到着したときには先客としてベンツに乗って来店した夫婦が居たのだけれど、旦那さんの方はどうしても次回はここの料理でお酒が飲みたいらしく、会計の際に近くのタクシーについてお店の人に熱心に聞いていた。どうやらあまり近くにはタクシーがないらしく、値段も万単位になるらしいと知って一度はそのまま帰って行ったのだけれど、それでもやっぱり諦めきれなかったらしく、しばらくするともう一度やってきて最寄りのタクシーの連絡先を聞いてメモしていったのには笑ってしまった。しかし、その旦那さんの気持ちがよく分かるくらいにはここの料理はおいしかった。
かくいう我々もあんまりここの料理がおいしかったので、翌日再び電話をかけて、その日のランチが食べられないか聞いてみたのだけれど、あいにくとすでに予約で埋まっているという話であった。さもありなん。