見たテレビアニメとか映画とか(2023年夏クール)

 大遅刻。冬クールが既に終わってしまった気がするけど、プリキュアが終わるまではまだ冬クールは終わってないと言い張ることにする。

 このほかに『はたらく魔王さま』、『百姓貴族』、『スプリガン』も見てたけど、そんなに書くこともないので略。

 

 

テレビアニメ

『SYNDUALITY Noir』 1-12話

 小型二足歩行複座式ロボットアニメ。分割2クールで、第1クールは世界観というかキャラと組織の紹介で終わった感じ。第2クールは今月から始まるっぽい。一応ゲームタイアップ作品らしく、これからゲーム版も出るらしい。

 監督は『ヤマノススメ』や『推しが武道館へ行ったら死ぬ』の山本裕介。百合的な人間関係の描写に定評のある人だけに、ロボットアニメを手掛けるのは意外な気もしたけれど、富野監督の下でVガンダムを作ったりもしていたらしい。

 山本監督作品らしく、コミュニケーションに臆病だったり不器用だったりする登場人物たちが、一歩踏み出そうと逡巡したり、お互いのためを思って行動した結果すれ違いそうになったりするもどかしい感じが魅力的に描かれている。……やっぱりロボアニメより百合アニメの人なのでは。

 文明崩壊後の世界を描いた物語で、ベースとなる雰囲気や設定はザブングルっぽい。文明が一旦滅びて、記録が継承されなかったせいでカジノのゲームに神経衰弱や人生ゲームが入っていたりするような世界観。戦闘シーンではガンダムを中心とした古今のロボアニメの小ネタがちょいちょい挟まれる感じだった。ゲーム的な必殺技があったりして、リアリティラインはゲーム寄り。

 色々とネタや見どころの多い作品だったと思うけど、テレビ放映以外はディズニー+の独占配信だったのが祟ってインターネット上では話題になりそこなった感じがある。やはり独占配信は人道に対する罪。

 

『好きな子がめがねを忘れた』

 少女漫画的中二異能者スタイリッシュバトルアニメ専門スタジオGoHands(偏見)による日常系ラブコメ。このスタジオ特有のコントラスト強めで異様に線が多い画面の中で普通に日常系ラブコメやってるのは、それだけで既にギャグ。ヒロインの三重さんの髪の毛とか正気を疑うレベルで線が多いのにちゃんと風になびいて揺れるんだぜ。

 タイトル通り、主人公の中学生小村くんがメガネを忘れたヒロイン三重さんの行動を愛でるというわりとニッチな性癖を突いた作品だけれども、中学生の男の子と女の子の距離感がよく描けていて、意外なほどに良い作品だった。小村くん、三重さんに対する思いが強すぎてちょっとどころじゃなくきもちわるいことになってて楽しい。6話のギアの上がりっぷりは最高だった。

 物語の前半は小村くんの視点を通してちょっと不思議な三重さんの行動を観察するコメディなんだけれども、9話で三重さんの内心が明かされることで、小村くんの視点でしか語られなかったこれまでの物語の意味がひっくり返る。これまでコメディだと思って笑っていたものの正体に視聴者が気付かされるというものすごい構成だった。

 

『アンデッドガール・マーダーファルス』

 青崎有吾によるミステリを原作としたアニメ。監督は『かぐや様は告らせたい』の畠山守。ルパンやホームズ、フランケンシュタインや吸血鬼などが存在する19世紀末のヨーロッパを舞台にした特殊設定ミステリと呼ばれるジャンルの物語らしい。

 探偵役の輪堂鴉夜(CV黒沢ともよ)と助手役の真打津軽(CV八代拓)の話芸を楽しむアニメだったかもしれない

 1話の画面の構成や演技の方向性が演劇的。モローのサロメをモチーフにしたシーンがかっこよかった。『MARS RED』の1話を連想する。かぐや様もだいぶ特徴的な画が多い作品だと思ったけど、この監督の本領はこういう夢のような画を見せるところにあるのかもしれない。

 

『わたしの幸せな結婚』

 異能とか異形とかがいる近代日本を舞台にしたシンデレラストーリー(と公式が言っている)。2期もやるらしいし、実写映画もやるらしい。黒髪ロングの自己肯定感どん底ガールをでろでろに甘やかす話。

 初期設定のひずみを受けて終盤のストーリー展開がやや強引になりがちだったのが難。主人公の母ちゃん、娘の都合とかあんまり考えずに最初から最後まで家のことしか考えてなかったような。

 1話はシンデレラストーリーのシン(どい)の方がメインなので、2話以降のデレを見てから視聴を決定した。年を食うとだんだんしんどい設定の物語を受け付けなくなってくるのよ。

 

映画館

『SAND LAND』

 鳥山明の漫画を原作にした映画。砂漠の世界で魔物と人間が戦車に乗って水を探す旅に出るお話。マッドマックスのパロディとしてのメタルマックスが好きな人とかにおすすめできる感じだなと思ったらゲーム化するらしい。戦車と車が最後まで生き残るのが良かった。

 思った以上にミリオタ向けの作品。基本は戦車戦だけど、仰角が取れないなら本体ごと角度をつけてしまえばいいっていうWW1くらいの対空砲の発想とか、太陽を背にすることで目眩まし効果を狙うという戦闘機のドッグファイトの文脈も強引に突っ込んでくる。終盤はチャフなんかも出てきたし。

 

『映画プリキュアオールスターズF』

 プリキュアとは何かという問いに友達という解を提示した映画だった。そしてこの二人がプリキュアになったということを踏まえての『わんだふるぷりきゅあ!』か。

 プリキュアオールスターズは毎回どうやって物語を語るための尺とキャラクターの見せ場を配分するかを見に行ってる気がするけれど、変身バンクを入れる時間すら惜しいと言わんばかりの戦闘場面の情報圧縮はなかなか見事。直近3作を中心に、登場人物を絞った上で各キャラを掘り下げる手法は成功していたと思う。強い絆で結ばれた相手を持っているキャラクターは、一人で二人分の思いが描けるのだという天才の発想を見た。

 初対面同士のプリキュアが出会って、見知らぬ異世界を旅して回る前半は、オープンワールド的なワクワク感もあって、非常に良かった。後半から終盤、敵役の動機とやったことがあまりにもドラゴンボールだった気がする。もしプリキュアではなく悟空と出会っていたら、また別の答えを見つけていたのだろうか。

 印象的なシーンとしては、のどかがプーカの手を取る場面が地味ながらなかなか良かった。プーカは触れたものを壊してしまう力があるので、他の人と手をつなぐことを恐れているのだけれど、自分が傷つくことが分かっていても、あえてその手を取るのがのどからしい。