プリパラのはなし

 最初に、この文章はほぼ記憶のみで書いているので、勘違いしているところや記憶違いのところがあるかも。

 

 新年なのでなんか書き物したい気分。

 前々から書きたいと思ってたプリパラについてなにか書きたいけど、プリパラ好きすぎて何を書いたらいいのかさっぱりわからない。

 とりあえず好きなキャラを思いつくままに挙げてみると、めが姉ぇ、ガァルル、レオナ。ほかにはジュリィ、みちるとか、そのあたり。カップル単位ではレオそふぃ、アサみち、ガァラしゅうが好き。

 みちるは顔と髪型が最高に好み。男プリスピンオフ作ってその中でアサヒと付き合ってほしい。ストーリー的には35話が最高すぎた。「みちるならばできると信じてひたすら待ち続けたミーチル」という要素の追加によって、これまでのミーチルのギャグっぽい行動のすべてが泣き要素に変換されるという、もうこれが最終回でいいんじゃないかなというレベル。

 みちるは、あろまのこじらせた自我の犠牲者でもあったけれど、最終的にはあろまを現実につなぎ留める良きメンターへと成長を遂げたキャラだと思う。ガァララを諭したガァルルといい、あろまを叱ったみちるといい、あろまの周りのキャラはママ力が高すぎる。

 ジュリィはおっきくなってもらぁらのことをママって呼ぶのがいいよね。

 他のキャラでは、めが姉ぇ、ガァルル、レオナの三人は、みんながアイドルになれるはずのプリパラにおいても本来アイドルになれない存在であること、それにも関わらずアイドルになりたいという強い望みをもち、結果としてアイドルとして舞台に立ったというところで共通していると思う。

 なんか今書いてて初めて自分がこの三人を好きな理由がなんとなくわかった気がする。この三人についてもう少し書きたい。

 

めが姉ぇのはなし


 まず、めが姉ぇ。最初は親切な受付のお姉さんかと思わせておいて、物語が進むにつれてだんだんと視聴者を不気味の谷へと突き落とすシステムの代理人。筐体で唯一、一枚のトモチケでいくらでも呼び出せる量産キャラ。歩く中国語の部屋綾波レイに豊かなコミュニケーション能力を与えて感情を抜いた感じのキャラクター。一匹見かけたら千匹はいる、プリパラのエージェントスミス。BLAME!で言えばセーフガード。メガネが本体。

 彼女(達)はプリパラのシステムが乗っ取られてセレパラに書き換えられたときに、一緒に書き換えられて黒めが姉ぇになったりもしたのだけれど、そのときにまさかのアイドルデビューを果たした。

 このときのメイキングドラマで増えていくめが姉ぇが最高なんだけど、ライブで歌うめが姉ぇを客席からサイリウムを振って応援するめが姉ぇ達もめっちゃ楽しそうで好き。

 歌の中でめが姉ぇは、システムである自分がアイドルとして歌うことの喜びを歌い、説明のできない様々な感情について歌い、心や愛を持ちたいという夢を歌った。この歌の歌詞を読んだとき、はじめてめが姉ぇにも感情と呼べるものがあったのかもしれないと気付かされた。

 ちょっと余談。めが姉ぇのブランドはプリズムストーンだけど、これってもともとコスモさんの着ているものの流用だから、サイリウムチェンジ後がわりとセクシーな格好なんだよね。悪くはないけどめが姉ぇっぽくもうちょいかっちりした感じのサイリウムコーデも見たかった気がする。

 めが姉ぇが歌った前後のストーリーでは、めが姉ぇがセレパラのシステムの執行者としてわりと血も涙もない冷血マシーンぶりを発揮していた(いつものことと言えばいつものことだけど)だけに、この歌の歌詞とのギャップは激しかった。

 プリパラのセレパラへの書き換えはかなり強引に行われたため、後にはプリパラのシステムそのものが崩壊の危機に直面するのだけれど、もしかしたらめが姉ぇが微かに抱いていたアイドルへの夢は、エラーまみれで壊れかけたセレパラでなければ実現できなかったものなのかもしれない。むしろめが姉ぇ自身が崩壊しかかったシステムの状況を積極的に利用してアイドルデビューした可能性さえある(ひびき様があえてめが姉ぇをアイドルとしてステージに上げる理由は無いから)。そう考えると、めが姉ぇはガァルルやレオナ以上に困難な状況からアイドルにデビューしたとも言える。ひびき様プリパラ壊してくれてありがとう。

 というかそもそもプリパラは人間の女の子以外のシステム由来の存在に対して厳しすぎる。お前は数値海岸かってレベル。アイドルをスカウトできなかったマスコットは強制的に墓場送りにされるわ、ディアスポラの孤児のように自然発生したボーカルドールは友達作った時点でフリーズするわ、システムを管理してるはずの女神さえシステムに違反すれば容赦なく消去させられそうになるわ、夜勤専門で万年単位でワンオペさせられる精霊(あまりの待遇の酷さに職場放棄した)はいるわで、あまりにも人間中心の設計すぎる。

 まあ、めが姉ぇに関してはメカ姉ぇという前例を見る限り、引退後にわりとフリーダムな生活が約束されてそうな気もするのだけれど。

 それはそれとして、セレパラ後のめが姉ぇはわりと積極的にシステムの隙間をついてアイドルのために便宜を図るようになった気がする。以前の四角四面な態度から比べると融通がきくようになった感じがするし、ただのシステムだっためが姉ぇに少し人格らしきものが生まれつつあるようにも見える。好き。トライアングルの結成に手を貸したり、ちあ子の夢の実現のためにゴザを貸したりするような姿は、以前ならば想像しにくかったと思う(2期のそふぃの神アイドルチャレンジライブのときはできるかどうか確認取りに行ってたし)(らぁらたちに通行人のPOPを貸しちゃうようなお茶目な面もあったけど)。

 特にアイドルタイムになってからのパパラ宿のめが姉ぇは感情という概念を理解しつつある人工知能っぽさがあって最高に好き。マイドリーム結成のときなんかチーム名が決まっていないことに対して戸惑うというすごく人間らしい反応を返していたし、アイドルタイム終盤のめが姉ぇにはもう完全に人格が発生していた気がする。個人的には人格の発生しためが姉ぇの協力無くしてはパパラ宿のプリパラの復興は成し遂げられなかったと思うんですよね(強弁)。

 長門有希その他で人格の発生したAIとか感情の薄いキャラクターとかが好きだった自分としては、めが姉ぇは必然的に好きにならざるを得ないキャラクターであった(AIのアイデンティティー確立って意味では一期のファルルも好き。おねむのファルルに魅了された人たちの気持ちも分かる)。

 

ガァルルのはなし


 次、ガァルル。ガァルルはプリパラでうまく行かなかった女の子たちの思いが集まって自然発生した、いわば生まれつき最もアイドルに向いていないキャラクター。

 ガァルルがすごいのは、2期の最後でひびきのイガイガを飲み込んでしまうところだと思う。もともとイガイガのせいで歌もダンスも全然だったガァルルが、曲がりなりにもアイドルとしてデビューできるくらいにまで成長したあとで、再びイガイガを引き受けようとするその覚悟は相当のものだと思う。その代償として、ガァルルはこれまで成長してきた姿を失い、最初のころの小さな姿に戻ってしまったわけだけど。

 なぜガァルルはそんなことをしようとしたのだろう。イガイガはプリパラに発生したシステムの歪みのようなもの。ひびきのイガイガはセレパラをシステムの異物としてプリパラが排除しようとした結果生まれたものだ。

 ひびきがセレパラを作ったのは、一つには自分の理想のプリパラを作るため、もう一つには嘘にまみれた人間の世界から離れてボーカルドールに転生するためだった。

 セレパラの崩壊によってひびきの望みはいずれも絶たれた。セレパラの残骸でもあるあのイガイガはひびきの挫折の象徴とも呼べるものなのだ。

 こうしてみると、ひびきのイガイガが生まれた経緯はガァルルが生まれた経緯と非常に近しいことがわかる。ひびきのイガイガを飲み込もうとしたとき、ガァルルは自らの存在理由をプリパラで挫折した女の子の悲しみを受け止めることに見出したのかもしれない。

 何も持たないけれども人間関係にめぐまれたガァルルと、あらゆるものを持っていたがために却って上っ面の人間関係しか築いてこれなかったひびきというのもわりと対象的なキャラクター配置だったなあと思う。

 2期って、セレパラ成立あたりまでは何をやっても怪盗ジーニアスに御破産にされちゃう徒労感が強くてわりと苦手な話だったのと、ひびきの悲劇も今ひとつ共感しきれないところがあって、通り一遍な見方しかしてなかったけど、いずれそのうちちゃんと見直したいと思う。

 

レオナのはなし


 レオナについて、まずレオナは見た目も性格も女の子のようだけれども実際は男性のキャラクター。プリパラ内ではほぼ女の子と同じように過ごしているけれども、プリパラの外の現実世界では男性として生活しようと努めているフシがある。(レオナはプリパラ内ではいつもスカートを履いているけれど、プリパラの外ではズボンしか履かないという設定がある。)(性的指向についてはめが兄ぃに好意を持っているらしい様子が描写される一方で、そふぃとの仲もまんざらではなさそうなので、わりと中性寄りなのかもしれない。)

 本来プリパラは女の子専用の空間なのだけれど、それにもかかわらず、おそらくはプリパラに対する思いの強さによってプリパラへの入場許可証であるプリチケがプリパラのシステムによって与えられ、プリパラの中で女の子のアイドルたちに混じってアイドルとして活動を続けている。

 ちょっと余談。女の子にプリチケが届くのは初潮が来たタイミングであるという説があるけれど、仮にその説に従うとレオナにプリチケが届いたのは精通後ってことになる。プリチケが届いた直後からヒゲが伸び始め、声も変わりはじめるというのはアイデンティティがいろいろクライシスすぎるのではないだろうか(別アニメだけど、リリィなんかヒゲが生えてきたのがショックで死んじゃったくらいだし)。

 容姿に関しては、みあの例もあるのでプリパラの中では自分の理想の姿でいられるはずだけど、日々体が成長していくに従って、プリパラの中での自分の理想の姿と現実世界での自分の姿がどんどん乖離していくというのは、わりと恐ろしい事態だと思う。それこそ接続された女状態になりかねない。

 話を戻して、レオナの性格は、周囲に流されやすく一見すると優柔不断に見えるけれども、自分の信念に関わることについては頑として譲らない芯の強さを持っている。普段は姉の意見に唯々諾々と従っているけれど、本当に大事な場面では絶対に自分の意見を曲げることがない。

 レオナというキャラクターがいいのは本人が男なのに可愛いというギャップもあるけれど、それ以上にレオナの周囲の人々がレオナを自然に受け入れてくれているところだと思う。レオナの家族もそうだし、ソラミの三人やシオンも男であるという事実を知らされたときには驚きこそするものの、その後は以前と変わりなく接している。レオナは自らのジェンダーアイデンティティを自らに問わねばならないほどに性に関して追い詰められることはない。

 プリパラには(現実以上に)いろんな人がいて、いちいちツッコミを入れていたら追いつかないというのもあるし、プリパラ自体のアジール(聖域)的な性格がそうさせているのかもしれない。

 レオナ自身が自分のジェンダーアイデンティティにどう向き合っているかは劇中では描かれることが少なかった。ひびき様からどうして女性の格好をしているのかと問われた際に「あるがままです」と答えたのが唯一だろうと思う。

 またレオナは他のキャラクターに比べると性格的に他人との摩擦を避けようとするところがある。プリパラの外でスカートを履かないのも無用な摩擦を避けたいからかもしれない。ではレオナは自らのジェンダーについてどう考えているのだろうか。

 この点に関してはレオナの所属しているドレッシングパフェの歌にヒントがあるかもしれない。ドレッシングパフェは常に歌の中で「ドレスコードを破れ」「常識にとらわれるな」と歌い続けてきた。ドレッシングパフェはジェンダーや社会的規範といった「他人の考え」に縛られないチームだ(そういう意味ではドレッシングパフェのマネージャーがこれまでそふぃを雁字搦めにしてきたウサギなのは大いなる皮肉であるとも言えるかもしれない。まあ、ウサギはウサギなりにそふぃのために頑張ってきたという思いがあるのだろうけれど。)(あとドロシーはもう少し他人の考えを慮って行動したほうがいいと思うな。)

 ドレッシングパフェを通してみると、レオナも人がどう思おうと自分は自分であるという考え方を持っているのだろうということが見えてくる。ドレッシングパフェの面々は、おそらく自分たちがカテゴライズされることそれ自体を拒否するのではないかという気もする。レオナが「あるがまま」と語ったのにはそういった世の中の分類に関わりなく自分は自分の行きたいように生きるのだという意味が込められているのかもしれない。

 それはそれとして、自分がレオナについての描写において一番いいなと思うのは、最初にも書いたようにレオナ自身がその性別や装いについて無用な詮索を受けたりいじられたりしないで、そういうものとして受け入れられているところだ。

 自分は幼いころにわりとスカートとか人形とか、割合に女の子的なものや可愛いものに興味があったほうで、いやもしかしたらこれは自分だけじゃなくて男の子のうちの多くが大なり小なりそうなのかもしれないけれど、自分の場合は周囲から多少奇異の目で見られようともそういうものに興味があるというということをわりと自覚して行動してたほうだったように思う(というかそうでなくても普段からわりと変わった子だと思われてたけど)。ただ、それでも女の子的なものや可愛いものを好きで居続けるのはそれなりに大変だった気がする。

 まあうちは両親が男らしさとか女らしさとか全然言わない人だったんでそのへんは大分楽だったんだけど、知らず知らずのうちに刷り込まれたジェンダーロール的なものとの葛藤なんかもあって、可愛いものを好きでいるのはかっこわるいことなのではないかという思いもあったりした。

 こういう葛藤から逃れられるようになったのは、CCさくらのころに自分がオタクだと自覚して、オタクだから可愛いものが好きなのも当然だとある意味で開き直れるようになってからかもしれない。

 今まであんまり意識してなかったけど、そういう点では自分はわりとオタクという属性(と、さくらちゃん)に救われていた面があるのかも。少なくとも自分が女の子向けの番組を屈託なく見られるようになったのは、間違いなく自分がオタクであると自覚してからのことだし。

 自分はオタクだからいくつになってもアニメを見続けることも、女の子向けの可愛いものを好きでいることも全く自然なことだし、なによりも、好きなものを好きと言っていいんだっていうのは間違いなく救いだったと思う。

 で、話が大幅に脱線したけど、自分がレオナという存在を好きなのは、まったくなんの条件もなしに可愛いものを好きでいることが許されているし、自らが可愛い存在であることを許されているからかもしれない。

 自分の場合はオタクという前提をかませたうえで、自然に可愛いを受け入れられるようになったけど、できうるならばオタクになる前から無条件にかわいいを享受したかったし、そうすることが許されているレオナの存在自体が自分にとって一種の救いになっているところがあるのかもしれない。

 自分は虹色にのの夢のエピソード(ライダーや戦隊ヒーローが好きな女の子が好きなものを好きでなくなる話)はあまりピンとこなかったのだけれど、あれを性別反転したらめちゃくちゃ刺さりまくるんじゃないかという気がする。パックに夢を食われてプリキュアに興味をなくした男の子が、自分の好きを取り戻す話とか絶対泣く自信があるね。

 そういう意味で、本来女の子の世界には立ち入ることさえ許されないはずのレオナが、当たり前のようにプリパラでアイドルをやっているということ自体が自分にとっては一種の救いであったのかもしれないということ。そして、自分と同じように可愛いものが好きな男の子にとっても救いになっていたらいいなあと思ったりする。

 

おわりに

 

 最初はそんなに書くこともないだろうと思っていたのに、思いつくままに書いていたらなんかクソ長くなった上にどんどん収集がつかなくなって行ってしまってどうしたもんかと思った。レオナに対する感情が書いていくうちにひたすら重くなっていくし……。

 普段100文字しかものを書いていないので、100文字を超えると途端にあちこちにアラが出るなって感想。

 とりあえずプリパラ面白いのでまだ見たことない人はぜひ見ましょう。全部でたったの180話くらいなので不眠不休で4日間見続ければ完走できます。大丈夫、できるできるできる。