この前、鬼怒沼に行くためにスノーシューを買ったので、できれば有効活用して行きたいと思い、どこか適当な場所はないかなあと考えていたところ、ニ月頃の雲取山なら、わりと雪がどっさりあるらしいという情報を得て、雲取へ行こうということになった。
雲取ならば以前に一度登ったことがあるし、ついでに鬼滅の刃の炭治郎の出身が雲取だという話があったので、もう一度行っておきたいとも思っていたので、まあ丁度いいといえば丁度よかった。
前回登ったときは、暑さにやられてほうほうの体でどうにかこうにか登りきったという感じで、登ったあとしばらくは、実は自分は登山には向いていないんじゃないかと落ち込んだりしていた。なので今回はリベンジをしたいという思いも少しあった。
登山ルートは、前回と同じく今回も山梨県側の鴨沢登山道から上がって、雲取山荘で一泊し、埼玉県側の三峯神社へと降りるルートを取ることにした。これは、鴨沢はバスの便が少なくて帰りの足がやや心配だったことと、三峰行のバスは始発が遅くて登山の開始が遅くなることを嫌ったため。まあ三峯神社のある秩父側のほうが色々と馴染みがあるので、なんとなく地元に帰るような気分になるからというのも大きい。
登山口へのアクセスについてgooglemap先生に聞いてみると、奥多摩駅からバスに乗って、なぜか登山口最寄りの鴨沢バス停じゃなくてその手前にある留浦(とずら)バス停で降りて歩けという。
調べてみると、鴨沢バス停には西東京バスの奥09、奥10の便しか停車しないが、数百メートル手前の留浦バス停には奥09、奥10に加えて奥12のうちの留浦経由の便も停車するらしい。自分の家から鴨沢登山道へは、奥多摩駅発の奥12に乗って留浦バス停で降りて鴨沢バス停まで歩くのが最も早いということらしい。なるほどgooglemap先生はかしこいな(googlemap先生、バス路線については認識してるところとしてないところがあるので、当てにならないことも多いのだけれど、今回は当てになる方だったらしい)。
今回実際に歩いたコース。
そんなこんなで留浦バス停から歩いて鴨沢登山口まで到着。冬場はもともと登山する人が少ない上に、この日は平日だったせいもあり人気がほとんどなかった。
ちなみにこれが前回、2018年秋の休日に来た時の登山口の様子。めちゃめちゃ人がいた。
実は、電車を降りた時点でちょっとトイレが近かったのだけれど、バスの時間が迫っていたのでそのままバスに乗ってしまった。襲いくる便意と戦いつつ、どうにか増田にならずに登山口脇のトイレまでたどり着くことに成功。一息ついた。
登山口のベンチで登山届を書いて提出。書いてる途中で猫がやってきて毛づくろいをはじめたので、手を伸ばしてちょっと撫でさせてもらった。
さて、事前の情報では山頂付近は最低気温がマイナス10℃になる日もあるという話で、雪のある山にソロで行くのが初めてだったこともあり、大分防寒を厚めにしていたのだけれど、数日前からだいぶ暖かな日が続いており、登山口周辺の山々を見渡してもどこにも一欠片の雪も見えなかった。まあそれでも上に上がれば状況も変わってこようと一縷の望みを抱いて登山を開始したわけだけれども……。
登り始めは住宅地の脇を抜けていく感じ。
鴨沢ルート名物、将門伝説看板。モノローグと一枚め。ところで最初のモノローグはプロローグの間違いでは?
少しの間舗装路を歩いて、
2枚めの将門看板が表れたところから、
ちゃんとした登山道が始まる。ここをしばらく歩くと、
再び車道と合流。ここには村営駐車場があって、
立派なトイレもある。
で、これは余談なんだけど、実は前回雲取に来たときはさっきまでの登山道は台風の影響で通行止めになっていて、
みんなしてどうしたらいいんだって散々悩んだ。一応案内の地図は掲示されてたんだけど、これが微妙にわかりにくくて、そのせいで大勢で全然関係ない墓地に突っ込んだりして文字通り迷走してた。
結局、登山口まで戻って山一つ向こうにある車道を歩いて行くしかないということがわかって、随分な遠回りをしてさっきの村営駐車場までたどり着いたという思い出があったりする。
村営駐車場の付近には三枚めの将門看板。ここから車道を少し歩くと、
ちゃんとした? 登山道入口が現れる。
たしか雲取山の標高と同じ2017年に作られた登山道入口の看板。
こっちは前回登山した時の看板の様子。三色の雲が取れて確実にボロくなってきているのがわかる。よく見ると雲取山の文字も斜めになって落ちかかってるな……。
ここからから先は右手の谷沿いにしばらく、ずっと、延々と、ひたすらこんな感じの道が続く。具体的には1時間半くらい。
前回秋に来たときはこんな感じだった。2018年はものすごい猛暑の年で、秋になっても全然涼しくならなかったのを覚えている。
途中にある謎の廃屋。
将門看板四。ここで洗濯した小袖を忘れて、
五枚目でお茶を沸かして飲んで、
六枚目では風呂に入ったりしてる。
これがその風呂釜のあととされる岩。
七枚目では胴鎧をおろして休憩。なんかのんきに休んでばっかだなこいつ。
ところが八枚目で急展開。
とまあ、看板を眺めながら歩いていると、このあたりから段々と上りがきつくなってくる。だいぶ歩いたしちょっと疲れてきたし、そろそろ半分くらい行ったかなと思ったところに現れる道案内の看板。そこには……、
無情にもここはまだ全体の三分の一にすぎないと告げる紙がぶら下がっていた。
ついでにこのあと上から降りてきた人とすれ違った際に、上の方にも雪はないよと告げられ余計に疲れたりした。
ここまで、下山する人とは数人すれ違ったけど、自分以外に登ってる人は全然見掛けなかった。
ここからややきつめの上りを歩いていくと、
七ツ石小屋に到着。
特に休憩は必要でなかった(上りの途中でさんざん立ち止まって休憩してたから)ので、なんとなく一周して、水だけ補給して再出発。
そういえば、ここの小屋には古くなった山梨百名山の柱が何本か置いてあった。ここの小屋の人が交換を担当しているんだろうか?
七ツ石小屋から少し歩くと、水場が現れる。七ツ石小屋の水もここから引いている。七ツ石山の山頂に近い場所の割にはそれなりに水量があるように感じた。
ここの水は片倉谷を流れて後山川と合流し、奥多摩湖へと注ぐらしい。
水場を過ぎてからもきっつい上りをひいこら言いながら登っていくと尾根の上に出る。
ところで、登りがきつく感じるのはほぼほぼ自分がペース配分というものを考えないで登ってるからで、それが証拠に他の人と一緒に登山するときはあんまりきついと思ったことがない。このときは一応は真冬だというのに夏みたいにダラダラ汗をかいてたので、相当無茶なペースで歩いてたんだろうなあと思う。
尾根を少し歩いていくと九枚目の看板。ここはちょっと外伝的な内容で、七ツ石の地名の由来が書かれている。しかしこれだと二つとなりに六ツ石山があることの説明がつかない気がするんだよなあ……。
で、その将門も参拝したと伝えられる七ツ石神社。
神社からちょっとだけ登ると、
七ツ石山に到着。
前回も七ツ石山で相当バテたけど、今回もかなりバテた。やはり自分は登山に向いていないのでは?
雲取に2回登ってみた感じとしては、この七ツ石山の手前と雲取山の山頂の手前にある小雲取山の登りがわりとしんどかった。逆に、この二ヶ所さえ抜けてしまえば、あとは大変なところはそんなにない。
体感的には七ツ石山に登ったら全体の三分の二くらいまで来たと思ってもいいかなあという気がしている。
雲取山登山ルートには七ツ石山の山頂を回避するものもあるけど、ここはとても眺めが良いのでせっかく来たなら登っておくのをおすすめしたい。写真右手の、ちょうど木の枝がかぶさっている山が今回の目的地の雲取山。長いように見えるけど、基本的にはあまりアップダウンのない尾根道なので此処から先はわりと楽。
秋に登ってきたときはこんな感じだった。尾根の周辺だけ木がなくて逆モヒカン状になっているのは、山火事防止のために木を切ったかららしい。
流石にくたびれたし少し腹も減った。風がちょっと強いので、風よけになりそうな窪地を見つけて休憩。昔からみんなここで休憩していたらしく、ここには錆びた空き缶がいくつもあった。昔の登山家、わりとマナーが悪い。逆に考えると「山をきれいに」というのは思った以上に最近の考え方なのかもしれない。
山頂の石碑の影にこの日初めて雪を発見。
うーん、この様子だとやっぱり雪は期待できなさそう。
七ツ石山を過ぎてしばらく下ったところで最後の十枚めの看板とエピローグが。
打ち切り漫画みたいな展開にやや唖然とする。
やっぱり最初の看板のモノローグってプロローグの間違いだよなあ。
なだらかな尾根道が続く。
全体に春の陽気で、道の脇などに多少の残雪はあるものの、登山道で雪が残っていたと思しき場所は雪解けによって泥の海になっていた。歩きにくい。
最近閉鎖になった奥多摩小屋。ここはキャンプ場でもあったのだけれど、小屋の閉鎖に伴いキャンプ場も閉鎖となってしまった。
小屋が営業していたときにはここでキャンプをする人がたくさんいた。
奥多摩小屋を過ぎてちょっと上がったところで、振り返って七ッ石山を見る。
ここはちょっとしたピークになっているんだけど、地図を見た限り名前とかはついていないみたい。
前回同じような場所で撮った写真。色とりどりのテントがあるあたりが奥多摩小屋。
このあともうしばらく歩いて、小雲取山のキツめの急勾配をぬけると、
雲取山の頂上が見えてくる。
もう一息。
頂上付近からの景色。前回来たときは曇ってしまってほとんど何も見えなかったので、今回は晴れてよかった。
頂上付近にある避難小屋。
中はこんな感じ。
で、頂上。
ここまでは特にアイゼンとかは不要だったのだけれど、ここから山の北側(埼玉県側)に入って雲取山荘へ向かおうとすると、
ガチガチに凍った雪に覆われていてアイゼンがないと身動きが取れない。
軽アイゼンつけてちょっと進んで、雲取山荘に到着。
ほとんど人気がない。
この日の雲取山荘の宿泊客は自分含めて4組7人。鴨沢から上がってきたのが自分含めて2人のみ。残りは三峰からだった。そりゃ登ってる最中に人に会わないわけだ。宿泊客が少ないのでこの日は1人で1部屋の割当だった。前回は4人で1部屋だったのでえらい違いだ。
せっかくなので天皇の足跡スタンプラリーもこなしておく。
宿についたのが15時半くらいで、この時点ですでにめちゃくちゃ腹が減っていたのだけれど、夕食は18時からということで、空きっ腹を抱えながらストーブにあたって本を眺めたりして時間を潰していた。部屋のこたつに入っても良かったんだけど、そうするとそのまま寝落ちしてしまいそうだったので。
夕食後は疲れてたので即寝る。
翌日は三峯神社へ向けて出発。
雪があったりなかったりなので、アイゼン二、三回つけたり外したり。いちいちリュックにしまうのも面倒なので、カラビナ通してリュックのストラップにじゃらじゃらとぶら下げてた。
下りのルートでは下りのはずなのに白岩山に登らなくちゃいけないのがめんどくさいのと、お清平の手前の標高差がちょっとエグいので、ここ、降りるのはいいけど登るのはやだなあと感じた。それと登山道が埼玉クオリティで雑。
鴨沢ルートのめちゃめちゃキレイに整備された道と比べると、とりあえず迷わないように看板立てて、あとはホントにきついとこだけ階段とか掛けておけば十分でしょっていう雑さがほんっとうに埼玉県だなあという感じがする。
埼玉県、ここに限らず登山道というか道の概念がガバガバで、人間を猿の仲間か何かと勘違いしているんじゃないだろうかというような登山道が多い。逆に言うとアスレチック度が高いので歩いてて飽きないということでもあるのだけれど……。周辺自治体がみんなやってる山のグレーディングにも参加してないし……。
雪はあるようなないような。
すごく立派な霜柱があちこちにあって、そのせいで地表がめくれ上がっていた。
こういうところはアイゼンつけて歩くと楽しい。
前回来たときは霧の中を歩く感じだった。
白岩山を過ぎたところにある白岩小屋。多分もう使われていなかったはず。
入り口や中はこんな感じ。
白岩小屋のあたりはちょっと見晴らしがよくて、西側の景色がよく見える。遠くの山はちょっとは雪があるけど、やっぱり全体に雪が少ない。
前白岩の肩まで来ると、
遠くの方に、
ゴール地点の三峯神社の駐車場が見える。
お清平。
なんとなくだけど、個人的には炭治郎が一話で駆け回っていた山のイメージって、雲取山南東側の鴨沢ルートの明るい尾根道よりも、北側の三峰ルートの鬱蒼として暗い山道のほうがそれっぽいかなあという気がする。
ここも眺めが良い。
特に疲れてもいないので山小屋はスルー。
下りは霧藻ヶ峰をすぎると三峯神社までよく整備された道が続き(埼玉なのに!)、危ないようなところもなくなる。もしまだ物足りないという人は妙法ヶ岳の三峯神社奥宮へ行って見るのも面白いかも。今回はスルーしたけど、修験道ってこういうの好きだよねって感じの岩をよじ登ったところに奥宮があって、そこそこスリリングな登山が楽しめる。
実際に昔ここで炭を焼いてた炭焼平。
炭窯跡。
上から見るとこう。
炭治郎やその家族が実際に炭を焼く場面てそういえば出てこないよね。
今回はスルーした妙法ヶ岳の三峯神社奥宮。
ヤマノススメの原作でも出てきたので、興味がある人は行ってみるといいと思う。
こんな感じのいかにも修験道が好きそうな道を通って、
そこそこ急な鎖場を登りきると、
奥宮がある。秩父宮はここにも来たことがあるらしい。皇族意外に根性があるな。尊崇の念が湧くわ。
さて、無事に三峰登山口に到着。ところで登山口に、
こんな看板が掲げてあったんですが、埼玉県民にとっては2000m級の山でさえ「こんな山」扱いらしい。埼玉県人、マジで自分の県には大した山なんてないと確信している可能性があるな?
下山したら、ちょうどバスの時間だったんで、今回はそのまま帰っちゃったんだけど、三峰は三峯神社や三峰ビジターセンターなど見どころも多い。初めて行く人は色々見て回ると楽しいはず。
ビジターセンターはこんな感じ。
三峰神社もまあこんな感じで色々立派。オオカミを祀ってる神社なので、犬と一緒に来る人も多い。
おしまい。