両神山行った話

 坂本から両神山を経て日向大谷まで歩いたけど、久々にしんどかった。主に精神的に。

 今回の標準コースタイムは約7時間半。なので、下山があまり遅くならないように、西武秩父駅から7時に出るバスに乗って8時15分にスタート地点である坂本バス停につくようにしたい。そのためには池袋から5時に出る電車に乗ればいいのだけれど、ここで問題が一つ。自分の部屋から池袋に朝の5時までに着く公共交通機関がない。

 というわけで、今回は埼玉の実家に泊まって、朝一で最寄り駅まで送ってもらい、そこから秩父へ向かうことにした。

 

f:id:c_shiika:20190525202506p:plain

GPSのログ。今回、GPSが荒ぶってたのであんまり参考にならない。

 

 坂本から八丁峠までの坂本ルートは、かつてはたしかに道だったのだろうけど、今はほんとに道なんだろうかってくらいの道。沢沿いをずっと歩いていくのだけれど、大雨が降るたびにあちこち土砂崩れしているみたいで、もとの道がほとんど残ってない。さらにそのせいで歩く人もほとんどいないので、どこが道なのかとても判りにくいという凄まじいルートだった。案内板も半分以上倒れているし、頼りになるのは道しるべとして残されたピンクテープと、持ってきた地図とコンパスのみ。頼みのピンクテープ先輩も所々で力尽きて地に落ちていた。飯能アルプスでコンパスの練習しといてよかった。

 八丁峠から東岳までの間の八丁尾根は、断崖絶壁落ちたら死って感じの鎖場をひたすら登り降りする岩尾根なのだけれど、そこを登ってる最中に段々と雲行きが怪しくなっていって、遠くには雷の音も聞こえるし、小雨はぱらついてくるしでめちゃめちゃこわかった。もしここで大雨になった場合、下手に移動したら濡れた岩場で滑って墜落死だし、留まった場合は雨に体温を奪われて、暗くなって身動きも取れなくなって低体温症で死だろうなあとかずっと考えてた。

 幸い雨は小雨のまますぐに止んだけど、ああいう場合に備えた対処もちゃんと考えないとかなあ。レインウェアだけ持ってても大雨で身動きが取れないような場合には仕様がないし。

 後で他の人が登山したブログなんかも見てみたら、八丁尾根で雨に振られるのはわりとよくあることらしい。さらには積雪期にあそこを登るような人もいるらしいので、雨が降ってもわりとどうにかなるものなのかも。とはいえやっぱり怖いもんは怖い。

 まあそれを抜きにしても鎖場ラッシュ(30ヶ所くらいあったらしい)は体力的にも結構ハードで、一度は登ってる途中に足がつってしまってどうしようかと思った。登りきってすぐに薬飲んだので事なきを得たけど(足がつるのには芍薬甘草湯って薬がきくと聞いて、最近は山に行く時には常に持っていってる)。最後の方は疲れてきて、気を抜くと集中力が切れそうだったので「気を抜いたら死ぬぞ」「さんてんしじさんてんしじさんてんしじ」と念じながらどうにか気合で登りきった。

 東岳から先、両神山頂を経て日向大谷の登山口まではだいたい土に木が生えた普通の山だったので、普通の素晴らしさに感謝の思いを抱きつつ下山した。

 時間に余裕があれば山頂でラーメンとか作って食べたいところだったんだけど、山頂についた時点でコースタイムから1時間半くらい遅れていたので、今回の食事は途中でサラミソーセージをおかずに羊羹を食べるだけに省略。下りの行程で巻き返しを図ってどうにかコースタイムから1時間遅れの8時間半でゴールできた。

 普通の山だと休憩込みでコースタイムちょうどくらいのペースなんだけど、登山ガチ勢の多いルートだと、そもそもコースタイムの基準が高かったりして、なかなかコースタイム通りに登るというのが難しくなってくる。

 でもまあ、筋力と体力がないから上りはぱっとしないけど、ダウンヒルなら負けないぜ(自慢にならない)。

 

秩父駅で坂本ゆきのバス待ち。思えばこの時点ですでに雲行きが怪しかった。

 

8:15、坂本バス停到着。バスの運転手さんが気を利かせて二子山の登山口の方にバスをつけてくれた。けどゴメンね、今日はそっちじゃないんだ。

 

坂本コース登山口。一部不明箇所とは一体。

 

坂本コースの看板はだいたいみんな死んでた。

 

道標のピンクテープもよく死んでた。

 

坂本コースは基本的に沢沿いの道。道はわからないけど遭難することはまずない。

 

 左手の斜面はおそらくかつて登山道だったところ。

 

どこもかしこも多かれ少なかれ土砂崩れの跡がある。むしろなぜここを安定した登山道にできると思った?

 

砂防ダムその1。

 

砂防ダムその2。

 

砂防ダムその3。

現在でもこれだけあちこち土砂崩れしているということは、砂防ダムができる以前の様子は推して知るべしである。

 

正面が両神山。U字状にえぐれてるところをこれから降りたり登ったりする。

 

11:40八丁峠。坂本コースでさんざん道に迷ったので、この時点ですでに予定より40分以上遅れてる。

 

八丁峠から先は岩がちな尾根道。

 

眺めはいいけど天気がだんだん不穏になってくる。

 

鎖場ラッシュの始まり。

 

最初は全部の鎖場の写真を撮ろうと思ってたけど、途中で飽きた。

 

12:25行蔵峠。このへんの地名は何故か地図に載ってないんだよな。

 

 

進んでも進んでも鎖。

 

12:37西岳。このころには遠雷が聞こえてた気がする。

 

  

あとから写真で見ると結構な崖だったりするんだけど、登ってる最中はそんなことを気にしてる余裕はないので、わりとスイスイ登れる。

 

龍頭(りょうかみ)神社奥宮。ここから麓の里宮までの間には、尾ノ内沢ルートというのがあるらしい。龍頭神社では両神山のことを八日見(ようかみ)山と呼ぶそうな。

これとは別に両神神社もちゃんとある。

両神山、信仰の山過ぎて神社が混線してる感が無きにしもあらず。

 

ここは鎖を無視して岩の上にまたがって四つん這いで進むほうが楽だった。

 

山梨県方面の眺め。

 

休日だったせいもあって、人は結構たくさんいた。

このあたり、雨もポツポツしてきて気持ちも大分焦ってきたせいで写真が少ない。

 

14:00東岳。まだ東岳かーと思っていたのだけれど……、

 

東岳からは土の山で鎖場もほとんど無い。実家のような安心感で歩ける。

 

 

てことで、14:40に山頂到着。コースタイムをもとにした予定では13:20ごろには山頂につく事になってたので、ざっと1:20の遅れ。

 

山頂の眺め。雲の動きが速い。

 

晴れ間も覗いてきた、かなぁ?

 

東岳までと比べると格段にかわいい鎖場。

 

 

 

両神神社。ここは神様も存在を試される山。

 

登山者へのホスピタリティを感じる。

 

テント場もある立派な山小屋、清滝小屋。こんなに立派なのに管理人不在で避難小屋としてしか使われていない。

 

清滝小屋から先はこんな感じの道が延々と続く。楽だけど単調でちょっと飽きる。意外なことにこの道で足滑らせて落ちて死んだ人が何人か居るらしい。

 

17:00過ぎに日向大谷登山口到着。16:00着の予定だったので、1時間の遅れ。

 

帰りのバス。めちゃめちゃ混んでた。